上述の諸事実を総合すると,日本における魚介類照射実用化のためには,まだ多くの資料整備を必要とする段階である。研究の不足が実用化の方向ずけを不確実なものにしていると,いいかえてもよいであろう。照射処理の経済性の検討はたしかに重要ではあるが,経済性の評価は単に線源コストや副資材の経費からだけではじき出せるものではない。照射処理が従来の技術の上になんらかの点で優越することがより先決である。そのような利点を主張しようとする点でも,研究内容の貧困さを卒直に認めねばならない。