(1) ショ糖をシュウ酸添加加圧および常圧処理,酸無添加加圧処理,さらにショ糖溶液の直火加熱の条件において,それぞれの分解物質を探索した。 (2) 酸添加加圧・常圧処理と酸無添加加圧処理の分解経路は,その分解生成物質の現われ方から,ほぼ同一であると考えられる。 ショ糖溶液の加熱濃縮分解物質の形成は,酸添加加圧・常圧および酸無添加加圧の3条件と異なることから,その分解経路にも差があることが推定される。 (3) 酸添加加圧・常圧処理では,両条件ともに,最低処理温度では5-HMFと同時に他の分解物質が発現し,また酸無添加加圧では転化糖と5-HMFのみが発現している。 (4) ショ糖溶液の加熱濃縮では,5-HMFにいたる中間生成物質と考えられる物質2種,すなわちRf 0.56および0.72が検出された。 (5) 紫外部吸収曲線は,5-HMFの特性吸収が認められた。 (6) アニリン塩酸反応で,5-HMF以外の物質にも反応陽性物質が認められた。ただし,これらの反応は,ピンクまたは黄色で,フラン誘導体とは判定できなかった。