ハタハタすしの漬け込み期間中における諸成分の変化について研究した。得られた結果は次のとおりである。 (1) 飯の還元糖およびpHは漬け込み初期から,ほとんど一定の値を保っている。 (2) 粗脂肪および灰分の含有量は同じ傾向の変化を示した。すなわち,飯のほうは粗脂肪,灰分とも増加したが,ハタハタ肉のほうはいずれも減少した。 (3) 飯の総酸および不揮発酸(乳酸として)は6日から11日にかけてが最高値を示し,熟成度を表わすものと思われる。2月よりも気温の高い3月に漬け込んだほうが熟成速度が速いようである。 (4) ハタハタすしの飯の部分に乳酸およびコハク酸の存在を認めた。