アルギン酸ゼリーについて,酸性食品の一般的なpH範囲である3~4付近において,保形性および食感を不良にしないCa・Alg量および粘度について検討した結果次の知見を得た。 (1) ゼリー中のCa・Alg量を増すことによりゼリーに悪影響のないpH範囲を多少増すことができるが,pH3~4付近においてはゼリーの保形性および食感は不良になり,実用性のないことがわかった。 (2) 粘度がゼリーの膨潤度に影響をおよぼすことが認められ,ショ糖濃度Bx 20°, pH 3~4付近の場合は1%粘度320cp以上を示す粘度のもので調製すればよいことがわかった。 (3) 高粘度のNa・Algでゼリーを調製した場合も,ゼリーが堅くになりすぎて食感を不良にするようなことはない。これについては酸味液中での陽イオン交換反応によるCa2+の架橋結合の減少とpHの変化による水和性の減少に基くゼリーの脆化によるものと推測した。このゼリー内部の陽イオン交換反応については今後さらに検討する予定である。