(1) 茶葉からの無機成分の溶出率は,煎茶で,K, P, (Zn), Fe, Mn, Mg, Caの順であり,紅茶でK, (Zn), P, Mg, Mn, Fe, Caの順であった。溶出率が煎茶>紅茶となる成分は,P, Fe, Caで,他の成分は煎茶<紅茶であった。 (2) 紅茶のKは煎茶より明らかに溶出の量,率,速度とも高く,Pはまったくその逆であった。Feは両者とも溶出速度がもっとも遅く,溶出率も低い。Caは両者とも溶出率がもっとも低い。 (3) 茶葉からの無機成分の溶出は,成分によってかなり差があり,また,煎茶と紅茶で溶出傾向の異なる成分が認められ,茶葉中での無機成分の形態の違いが,両者間にあると推論される。