グルコースを酵素的に異性化して調製した異性化液糖について,食パンおよび菓子パンへの利用を,蔗糖と比較のもとに検討した結果はつぎのとおりである。 食パンでは,生地の粘弾性,生地醗酵,パンの体積および品質ともほとんど差はないが,パンの品質では異性化液糖使用のもののほうがややすぐれているようである。 菓子パンでは,生地の粘弾性に与える影響では両糖間にほとんど差はないが,生地醗酵では異性化液糖使用比率の増大につれて醗酵の低下が大きくなる。したがって同一条件で製パンした場合,パンの体積,品質ともに劣るが,ホイロ時間の延長によって,品質的にはほとんどそん色ない菓子パンを作ることが可能である。また異性化液糖による菓子パンは甘味がすぐれているため,使用量を減らすことによって醗酵の低下を防ぐとともに,コストの低下をもはかりうる可能性も考えられる。