大豆蛋白質加水分解物と豚脂とからなる乾燥系モデル食品について蛋白質加水分解物の抗酸化力を測定した結果, (1) 9種の酵素による大豆蛋白質加水分解物の分解率は3.7~17.7%の範囲内にあり,分解率3.7~7.8%の試料区には,ほとんど抗酸化力は認められないが,加水分解率17.7%の2つの試料は顕著な効力を示した。 (2) 酵素No.4による大豆蛋白質加水分解物の分解率は5.6~31.2%の範囲にあったが,その抗酸化力は加水分解率の上昇とともに増大した。また,加水分解物区は50℃での保存によって着色化する傾向が認められた。 (3) 大豆蛋白質加水分解物(分解率19.6%)のセルローズ・パウダーに対して1~100%の範囲内で添加した結果, 3%以上の添加によって抗酸化力が認められた。 (4) 加水分解率17%以上の大豆蛋白質加水分解物区には油脂過酸化物の分解作用が認められた。 (5) 大豆蛋白質加水分解物はd-δ-トコフェロールと相乗性を示した。