わが国には毎年,食品および飼料の蛋白原料として大量の大豆ミール(34万ton,昭和53年)が輸入されており,植物防疫法の規定によって港湾サイロで燻蒸による殺菌・殺虫が行なわれている。しかし大豆ミールは粉体と粒体の混合物であり,その大量処理に際して,燻蒸ガスの分布むらやブリッジを生じやすく,操作は面倒と考えられている。わが国で最近完成して普及のはじまった減圧燻蒸法は,減圧した穀物サイロの真空破壊注)をガス混合大気で行なうもので,穀層内へのガス侵透速度の早いこと,ガス濃度むらの小さいことおよびブリッジ破壊が容易に行なえる等の特長を備えている。現在,施設費の点にやや問題があるが,将来性のある技術と考えられる。ここでは先ず,従来の燻蒸法を簡単に説明し,その上で,この燻蒸法の特性を説明することとする。