大豆に含まれる亜鉛の分布,存在状態および化学形に関する研究の一部である。大豆磨砕液を超遠心分離し,その中間水層部をDEAE-セルロースイオン交換クロマトグラフィーにかけ,亜鉛が溶出した画分を実験用試料とした。この試料をそのままならびに加水分解した後,アミノ酸分析計にかけ,検出されたアミノ酸の種類を比較することによってペプチドの存在を確め,亜鉛と結合した形〔亜鉛-ペプチド〕について考察した。次に,この試料をDEAE-Sephadex A-25カラムクロマトグラフィーにかけ,亜鉛,リン,糖および260nmの吸収を示す物質が,同じ画分に溶出されることを確めた。薄層クロマトグラフィーとガスクロマトグラフイーで,この糖はペントースであることを確め,これら4成分からなる物質は〔亜鉛-ヌクレオチド〕であると考えた。この2つの形〔亜鉛-ペプチド〕と〔亜鉛-ヌクレオチド〕を含めて,亜鉛の存在状態について概観した。