オリザノールに油脂の熱酸化を抑制する効果があるかどうかを知るため,薬剤無添加大豆油にオリザノールを各種濃度に添加して190℃で水蒸気と共に通気加熱し,加熱油のヨウ素価,カルボニル価,平均分子量を測定して熱酸化の程度を判定した結果,次のことが明らかになった。 (1) 0.5ないし1% (w/w)のγ-オリザノールの添加は,大豆油に対する熱酸化重合抑制効果を発現する。(2) 本効果の発現には,フェルラ酸とその水酸基の存在が関与すると考えられる。 (3) 本効果の発現に対し,BHTおよびδ-トコフェロールは相剰性を示さない。 (4)オリザノールはBHTやδ-トコフェロールに比較して耐熱性があり,大豆油の長時間加熱後も抑制効果を持続する。