ホタルイカの塩辛は冷蔵中にしばしば白色物質が析出し,それが消費者の購買意欲を損うため,その原因の究明が望まれていた。 (1) 無機成分の分析の結果,食塩等の塩類ではないことが分った。 (2) 析出区と非析出区のアミノ酸分析,顕微鏡観察および析出物質の部分精製後のアミノ酸分析の結果,白色析出物がチロシンの結晶であることが分った。 (3) ホタルイカの肝臓中には,100gあたり約240mgのチロシンが遊離の形で含まれており,冷水に極めて難溶であるために,塩辛冷蔵中に結晶化するものと考えられる。