コーン油を用い, AOM法によりToc同族体の消長と相互関係を単独あるいは混合添加系で比較した.また,相乗剤としてL-AsA palmitateを用いα-Tocとの相乗効果を検討した.得られた結果は下記の通りである. (1) コーン油にTocを0.1, 0.05, 0.02%の濃度で単独添加すると添加量の増加と共に抗酸化力は減少し,0.1, 0.05%の添加では抗酸化力はγ-Toc>δ-Toc>α-Tocの順であり, 0.02%ではα-Toc>δ-Toc>γ-Tocの順であった. (2) α-Tocとγ-またはδ-Tocを0.1, 0.05, 0.02%の濃度で混合添加すると単独添加に比べ著しく抗酸化力が増加し, 0.02%の共存系ではかなり抗酸化力が増強された. (3) 0.02, 0.05%の濃度の単独添加においてはPOVとTocの残存率の間に一定の傾向が見られ,一定のPOVに達するまでのToc同族体の消費量はα-Toc>γ-Toc>δ-Tocの順であった. (4) Tocを混合添加した際のTocの残存量を見ると,α-Tocが消失してからγ-Tocとδ-Tocが分解することが観察された. α-Tocはγ-またはδ-Tocとの共存系において, γ-Tocまたはδ-Tocラジカルへの水素供与体として作用するものと考えられる. (5) α-TocとL-AsA palmitateを2.5×10 -3M,または2.5×10 -4Mの濃度で併用添加すると抗酸化力が増加し,特に2.5×10 -3Mの場合,抗酸化力の増大が大きかった.そして, α-TocとL-AsA palmitateの残存量から見るとL-AsA palmitateが先に消費されてからα-Tocの分解が始めることが観察され, L-AsApalmitateがα-Tocラジカルへの水素供与体として作用することが確認された.