(1) 代表的な淡色辛みそでは,いわゆる,かっ変はほとんど起きていないものと考えられる。 (2) しかし,淡色辛みそでも,水溶性ペントサンは,全ペントサンにたいして20%ていど存在するから,貯蔵条件しだいでは,かっ変を起こすこともありうる。 (3) 赤色辛みそでは,熟成中に,表面色と水に溶ける色が濃くなるのに並行して,2, 6-ジクロルフェノール・インドフェノール還元物質(IR物質)がふえる。しかし,水溶性ペントサンの量には,ほとんど変化がみられない。 (4) 豆みその表面色は,仕込んでからしばらくは濃くなるが,そのあとはほとんど変わらない。しかし,水に溶ける色は,IR物質の増加に並行して濃くなる。 (5) 淡色辛と赤色辛と豆の3種のみそのペントサン溶解率を比べると,色の濃いみそほど溶けのよいことがわかる。 (6) どのみその表面色も,仕込んでから1ヵ月後には,いわゆるボケた色が消えて,あざやかになっている。 (7) みそのなかのIR物質の量は,色の生成と並行する。 (8) みその熟成中における活性カルボニル化合物の消長は,色の生成には無関係で,熟成温度の上下に従う。