蜂蜜は独特の甘味を有しているが,著者らは糖以外の呈味成分としてアミノ酸および有機酸をとりあげ,“なたね”“ぼだい樹”“とち”の蜂蜜を試料として,これら3成分の分離定量を行なった。 アミノ酸の定量はStEINおよびMOOREのAmberlite IR-120イオン交換樹脂カラムクロマトグラフィー法で分離し,ニンヒドリン発色法により,また有機酸はBULLENらのセライトカラムクロマトグラフィー法で分離し中和滴定により,糖はKHYMおよびZILLのDowex 1-X 8ホウ酸型カラムクロマトグラフィー法で分離し,アンスロン法で定量した。 アミノ酸は約18種ほとんどすべて存在しているが,このうちプロリンがとくに多く,全アミノ酸の50~60%を占める。有機酸は7~8種存在し,グルコン酸が全有機酸の70~90%を占める。糖は従来の報告通りグルコースおよびフラクトースが全糖類の90%以上を占める。 以上のことより蜂蜜は主成分にフラクトースとグルコースを有し,これに微量のアミノ酸とくにプロリン,有機酸とくにグルコン酸が混在し,独特の甘味を呈しているものと推察している。