(1) 供試プロテアーゼのうち,生地の粘弾性およびパンの品質への影響の大きい順に並べると,Pronase, papain, Bioprase, fungal proteaseである。しかるにJOHNSONらのプロテアーゼ測定法による作用力はfungal protease, Bioprase, Pronase, papainであって,両者の間には正の相関が成立せず,むしろ逆相関のような奇現象を呈している。このことからヘモグロビンを基質とするプロテアーゼ定量法は製パン関係に採用することには問題があるように思われる。 (2) 本実験に使用した小麦粉の場合では,プロテアーゼはパンの品質によい結果をもたらさなかった。しかし最適生地形成時間がかなり短縮されることからみて,発酵時間,熟成時間の短縮,すだちの良化が期待されるので,アドミ法や迅速製パン法などに応用すれば,利用価値があるものと考えられる。