(1) トマトパルプ中のリコピンは熱,光に対して安定である。 (2) 単離されたリコピンの結晶は不安定で,すみやかに酸化されて退色する。真空中で冷暗所に保つことは退色防止に効果がある。 (3) リコピン溶液の色調は溶媒によって異なり,極大吸収値も異なる。溶液中でも退色が認められるが,ヘキサン,石油エーテルでは退色の程度が少ない。抗酸化剤の添加により退色が防止できることから,やはり酸化が大きな要素であると考えられる。 (4) リコピンは酸,酸化剤によってもすみやかに分解され,金属塩によっても退色するがアルカリには安定である。 (5) ショ糖懸濁液中ではリコピンはかなり安定で,酸,酸化剤,金属塩などの影響から保護されているものと考えられる。