IBM PCで取得された近赤外スペクトルデータをもとに,国内で広く利用されているNEC PCを用い主成分分析を行う手法を開発するとともに,その応用の一つとして小麦粉の用途特性(パン用粉,中華麺用粉,菓子用粉,麺用粉)の分類を試み次の結果を得た. 1. 近赤外分光装置に付属したIBM PCから近赤外スペクトルを直接取り出し,アスキー形式に変換するプログラムを作成した. 2. NEC PC上で作動する市販の主成分分析プログラムを,アスキー形式のデータが直接入力でき,701個の全スペクトルデータが取り扱えるよう改良した. 3. 小麦粉試料の2次微分スペクトルの特異的な波長におけるdd2log(1/Rλ)値をもとに,主成分分析を行った結果,第1主成分と第3主成分の散布図において,小麦粉を用途別に明確に分類できた. 4. 主成分の固有ベクトル,試料の化学成分,理化学的特性などから,第1主成分は試料の粒度に関連する因子,第3主成分はデンプンに関連する因子と判断された. 以上のことから,近赤外スペクトルの主成分分析を行うことにより,複数の成分および特性によって決定される小麦粉の用途特性が分類可能であることが示唆された.