麺の組織構造と物性に及ぼす加水量と食塩量の影響について検討した. (1) 加水量が35%以下の場合,食塩量の増加によって生地混合中のトルクの振幅は小さくなった.加水量が39%及び43%の場合,食塩無添加では,振幅が小さくかつ最大トルクを示した後のトルクの安定性は低かったが,食塩量の増加によってトルクの振幅は大きくなり,安定性も増加した. (2) 乾麺のグルテン組織の構造については,加水量の増加によって太い繊維性の網目構造から球面状の微細な網目構造に変化した.一方,食塩の増加はこれとは逆の変化をもたらした. (3) ゆで麺の引張り強度については,加水量と食塩量の組み合わせで様々な値を示した.これらの物性変化を重回帰分析した結果,有意な重回帰式が得られ,任意の加水量あるいは食塩量からゆで麺の引張り強度の予測が可能となった. (4) トルクの振幅が大きく,最大トルクを示した後のトルクの安定性の高い生地から調製した乾麺のグルテンの組織構造は繊維性と連続性が高く,ゆで麺にした場合の引張り強度も高く,物性的に優れることが明らかとなった.