食品の劣化や褐変に関与する金属含有の酸化還元酵素を中心に,酵素に対する超臨界二酸化炭素(SC-CO2)の影響を調べた.各種酵素の水溶液にSC-CO2を圧力10-20MPa,温度35℃で0-120分および20時間導入したところ,カタラーゼ,ペルオキシダーゼ,ポリフェノールオキシダーゼは,SC-CO2処理により容易に活性が低下した.その効果は時間が長くなるほど,また圧力が高いほど顕著であった.一方,リパーゼやピルビン酸デカルボキシラーゼはSC-CO2処理による著しい活性の低下は見られなかった.以上より,酵素の種類によりSC-CO2に対する感受性が異なることが明らかとなった.このことは,SC-CO2処理の条件(温度や圧力)を適当に選択することにより,食品中の特定の酵素だけを失活させることが可能なことを示唆した.