ガランガルは,東南アジアでスパイスとして広く利用されている.本研究ではその香気特性および香気に主として寄与する成分の特定を行った. (1) 官能検査により,ガランガルは根ショウガに比べ木あるいは森林様,ハッカ様,花様,日向臭が強く,柑橘様の香気が弱いという傾向であった. (2) 精油成分の炭化水素部は,含有率が低く,香気としての特徴に乏しいものであり,その成分は,モノテルペン炭化水素やセスキテルペン炭化水素がほとんどであった.含酸素部は,ガランガルの香気特徴をよく保持しており,アロマグラムにより,その香気に寄与する特に重要な成分として,1, 8-シネオール,チャビコールアセテート.リナロール,ゲラールアセテート,オイゲノールが抽出された.これらに続く香気活性成分として,酢酸,ボルニルアセテート,シトロネリルアセテート.2-アセトキシ-1, 8-シネオールおよびその異性体,メチルオイゲノール,1'-アセトキシチャビコールアセテート等が抽出された. (3) 根ショウガの香気成分と比較すると柑橘様の香気をもつ,ゲラニアール,ネラールがガランガルには存在しない点で大きく異なり,根ショウガではアルコール類,アルデヒド類が多いのに対し,ガランガルでは,酢酸エステル類が多かった.また,ガランガルでは,側鎖にアリル基をもつフェノール類で,類似構造をもつオイゲノール,チャビコールあるいは,それらのアセテート等が検出された. (4) 熱不安定性の強い1'-アセトキシチャビコールアセテートを,減圧水蒸気蒸留法により,香気成分として初めて同定した.この化合物はアロマグラムの結果,強い香気特性はなかったが,含有量が多く重要成分の一つであると判明した.