大部分の野菜のアスコルビン酸量は傷害によって減少するが,ジャガイモでは傷害によって増加する傾向にある.アスコルビン酸増加の原因を明らかにするため収穫後の貯蔵期間と関連して傷害ジャガイモのアスコルビン酸量を調べた.傷害ジャガイモのアスコルビン酸量は収穫後4週間以内では増加しなかったが,5から6週間の間ではわずかに増加し,7週間後には顕著に増加した.収穫後7週間以上貯蔵したジャガイモのアスコルビン酸量は貯蔵開始時の値の約半分にまで減少したが,傷害によって元の値にまで戻った.7週間以上貯蔵したイモを使用すると傷害ジャガイモではアスコルビン酸合成酵素であるL-ガラクトノ-γ-ラクトンデヒドロゲナーゼ活性も顕著に増加した.以上の結果から,一定期間貯蔵後に傷害を受けたジャガイモは傷害ストレスによる損害を克服するためにアスコルビン酸量を増加させることを示唆する.