厳密な温度制御下において,非定常棒状熱源(プローブ)法による小豆の熱伝導率および温度伝導率の測定を,5段階の含水率と5段階の温度に関して行った.測定装置の精度を純水,高吸水性ポリマーによって確かめ,プローブ定数の7.75を得た. 温度変化の測定結果を基に,式(3)に非線形最小二乗法を適用して得られた温度変化の計算値を比較したところ,両者はよく一致した.この計算から,式(3)のパラメータとして熱伝導率と温度伝導率双方を同時に算出した. しかし,温度伝導率の値は,当てはめた式がプローブの太さを無視した線熱源における近似解であるため,推定値より300倍程大きくなり,今後,測定装置の改良(プローブの替わりに直接細線を用いるとか),接触熱抵抗などについての詳細な検討などが必要と考えられた. 小豆の熱伝導率λは含水率に関して一次,温度に関しても一次の関係となり,λ= f ( M , T )の形の次の実験式を得た. ここで,標準偏差sdは2.83×10-3W/(m・K)となり,約2%の偏差となった. この式は小豆の熱伝導率の予測式として有用であり,さらに,かさ密度,密度の測定結果を加味することにより,熱伝導率と空隙率との関係が求められると,充填層における熱伝導率モデルの形成に有用となる.