タマネギの可食部に存在するフラボノイド成分を各種カラムクロマトグフィーで分画し,詳細に解析すると共に,同定の一助として化学合成により配糖体を調製し,機器分析を用いてそれらの同定を試み,次のような結果を得た. (1) ケルセチンとテトラアセチル-α-1-ブロモグルコースを用いたKoenigs-Knorr反応により,ケルセチンの3-O-β-グルコシド,4'-O-β-グルコシド,7-O-β-グルコシド,3, 4'-diO-β-グルコシド,3, 7-diO-βグルコシドを得,NMRスペクトル解析により構造を確認した.また,4', 7-diO-β-グルコシドも少量得た. (2) 同様にケンフェロールを用いて,ケンフェロール-3-O-β-グルコシド,7-O-β-グルコシド,3, 7-diO-β-グルコシドを得,NMRによりその構造を確認した. (3) タマネギの鱗茎にはケルセチン-4'-O-β-グルコシドとケルセチン-3, 4'-β-diO-β-グルコシドが圧倒的に多く,両者を合わせると全フラボノイド量の85%以上であった. (4) 全フラボノノイド量の1%を越える成分としてケルセチン-3-O-β-グルコシド,7-O-β-グルコシド,7, 4'-diO-β-グルコシド,及びイソラムネチン-4'-O-β-グルコシドが確認できた. (5) 1%以下の微量成分として,イソラムネチン-3, 4'-diO-グルコシド,ケンフェロール-3, 4'-diO-グルコシド,ケンフェロール-4'-O-グルコシドが加水分解及び標品との比較により確認できた.