生育段階,組織部位,品種の異なるサツマイモから澱粉を調製し,それぞれの澱粉について,イソアミラーゼで枝切りを行い,生成してくる一連のマルトオリゴ糖をパルスドアンペロメトリー検出器を用いた高性能アニオン交換クロマトグラフィーで分析した.この方法により,それぞれのアミロペクチン分子の鎖長6-17までの単位鎖の分布について調べ,遺伝生理学的要因がサツマイモアミロペクチン分子構造に影響を及ぼすかどうかを確かめた.生育期間中における,アミロペクチンの鎖長分布には,ほとんど変化が認あられなかった.異なる組織部位間でも,分布の相違はあまりなかった.したがって,生理的条件はサツマイモアミロペクチン分子構造に対し,ほとんど影響を与えないことが示唆された.31種類のサツマイモ品種間では,わずかではあるが,分布の相違が見いだされた.すなわち,すなわち,鎖長6-10までの短鎖の占める割合は28.7-37.6%の間で,九州91号が最も高く,東海5号が最も低かった.