本報告を次のように要約した. (1) ベンチュリーノズルによる噴霧方式を採用した,反応容量10lの循環型反応器を用いて,実験計画法(三元配置法)に基づいて大豆油を対象に水添反応を行い,反応条件各因子の反応特性値に及ぼす影響を検討した. (2)反応特性値のうち,水添度(RHDB)に対しては,反応温度,循環流量,水素圧力および反応時間の各因子が強く影響を与えた. (3)選択性に対しては,S-1,S-2双方に循環流量の因子が大きく影響を及ぼした.S-2は,循環流量が少ない条件で水素圧力因子との組合せにより変化し極大値を示した. (4)トランス価(STIV)に対しては,循環流量と水素圧力が強く影響を与えた. (5)水素化速度定数(kRH)は,Reで代表できる流量因子に強く依存していることを確認した. (6)反応温度,水素圧力および反応時間の各因子を同一に設定した場合に,循環型反応器による反応の選択性は,デッドエンド型反応器による反応と比較して相対的に低く推移した.また,循環型反応器による反応は,装置特性である高い攪拌効率を反映させることが容易であり,デッドエンド型反応装置に比べ反応速度をより大きくすることが可能であると考えられた.