脱脂大豆,およびこれを発酵熟成させた豆味噌,テンペについてイソフラボン含有量と抗酸化性について比較検討した結果,以下の点が明らかとなった. 1) イソフラボンに関するHPLC分析パターンより,未発酵大豆では配糖体として,また発酵大豆では大部分がアグリコンとして存在することが分かった. 2) 豆味噌仕込み後発酵熟成中のイソフラボン含有量の変化を経日的に追跡した結果,配糖体は仕込み後10日目まで減少し続けたが,アグリコンは逆に増加し12日後に一定に達した.この量はその後4ヶ月後においても変化せず保持された. 3) 発酵熟成過程の豆味噌中のβ-グルコシダーゼ活性を測定し比較した結果,仕込み後12日目の豆味噌が最も強い活性を示した.この時期はアグリコンのダイゼイン,ゲニステインの量が最高に達する時期と一致した.さらに発酵熟成過程の豆味噌の抗酸化性を比較検討した結果,仕込み後12日目の豆味噌より30日目の豆味噌の方が強い抗酸化性を有することが示された. 4) リノール酸(ツイン40を含む)の酸化反応系に抗酸化剤として脱脂大豆,発酵大豆(豆味噌,テンペ)を添加した結果,カロチン退色法,TBA法いずれの方法においても抗酸化性の傾向は,豆味噌>テンペ>脱脂大豆であった.