灰化卵殻添加ウメ漬けのCa,ペクチン,硬度と卵殻の灰化温度の関係及びペクチン組成と組織構造の関係を検討した.700-800℃で灰化した卵殻は温度の上昇に伴いCaが増加した.X線解析の結果,乾燥卵殻(DES),500℃灰化卵殻(AES-500), AES-600はCaがCaCO3,同様にAES-700と-750はCaCO3とCaO, AES-800と-900はCaOに由来すると考えられた.DESまたはAESを添加したウメ漬けは硬度が保持された.しかし,DES, AES-500または-600を添加したウメ漬けは収量が減少した.DES添加ウメ漬けは塩酸可溶性ペクチン(HSP)の割合が対照区と同程度だったが,水溶性ペクチン(WSP)は顕著に少なく,塩類可溶性ペクチン(HXSP)とアルカリ可溶性ペクチン(SSP)が顕著に多かった.AES-500または-600を添加したウメ漬けはHSP, HXSP, SSPの割合がDES添加ウメ漬けと,同様にWSPの割合は新鮮ウメのそれと同程度であった.700℃以上で灰化したAESを添加したウメ漬けは,それの灰化温度上昇に伴い,WSPとHSPが減少しHXSPとSSPが増加した.原料ウメの果肉には堅固な長方形の細胞が,塩蔵ウメのそれには偏平に変形した細胞が,同様にDES, AES-500または-600を添加したウメ漬けは圧搾された偏平の細胞が,AES-750または-800を添加したウメ漬けは原料ウメとほぼ同様な形状の細胞が観察された.