本研究は各種乳酸菌群に酵母菌を共生させ長時間熟成させた発酵乳液の抗変異原活性について検討した.発酵乳液は各種の乳酸菌混合液を12%還元脱脂乳に接種し,37℃, 31℃, 25℃の各温度で42時間培養したものをスターター1,スターター2,スターター3とし,各スターターを種々の濃度で添加し,酵母菌共生下で72-120時間30℃で発酵させ調製した.同時に乳酸菌単菌と酵母菌とによる発酵乳液も調製した.抗変異原活性はエームス試験法を用いて測定した.変異原としては3-amino-1-methyl-5H-pyrido (3, 4-b) indol (Trp P-2), N-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine (MNNG), benzo [a] pyrene (B [a] P), 2-(2-furyl)-3-(5-nitro-2-furyl)-acrylamide (AF-29), aflatoxin B1 (AB1)を用いた. 乳酸菌単菌による発酵乳液が特定の変異原に対してのみ比較的高い抗変異原活性を示したのに対して,混合乳酸菌による発酵乳液の抗変異原性のスペクトルは単菌の場合に比べ広く,且つ高い活性を示した.また,この発酵乳液は直接変異原物質に対して非常に高い抗変異原活性を有した.