β-LgはpH 3.5においてpH 7.0の時より難分解性であった.S-CM化したβ-LgはpH 3.5の緩衝液中においても容易に分解し,このことからpH 3.5におけるβ-Lgの難分解性はその立体構造に起因していると推測された.pH 3.5ではオリエンターゼ20Aが,pH 7.0ではトリプシン,キモトリプシン,オリエンターゼONS,デナチームAPが分解のために有効である.β-Lgを60℃-80℃で加熱変性することにより分解性がよくなる.各種プロテアーゼによるβ-Lg分解物をELISA抑制試験したところ,pH 3.5での分解物ではオリエンターゼ20Aによる分解物がもっともアレルゲン性が低下しており,β-Lgに比べて1/100であった.pH 7.0ではキモトリプシンによるβ-Lg分解物のアレルゲン性が最も低下しており,β-Lgに比べて約1/1000となった.ELISA抑制試験におけるアレルゲン性の低下は,β-Lgの残存量によるスクリーニング結果とほぼ同じ順序となった.