尿素加熱処理グロビン(UHG)ならびにUHG-脂肪酸複合体を調製し,それらの乳化特性について検討した. 1. グロビンの乳化活性ならびに乳化安定性は,グロビンを処理する尿素濃度によって変化した.結果的には,6M尿素加熱処理グロビンで最大の乳化活性値が,また,本グロビンエマルションで最も高い乳化安定性が得られた. 2. UHGの乳化活性ならびに乳化安定性は,pH 7.0とpH 8.5でグロビンよりも高く,酸性側(pH 2.5-pH5.5)では,グロビンよりも低かった. 3. UHGの溶解性は,pH 4.0-pH 5.0で最低となった.また,pH 2.0-pH 6.0の範囲で,溶解性はグロビンよりも低く,pH 7.0-pH 9.0ではグロビンよりも高かった. 4. 脂肪球に吸着しているタンパク質量を定量した.酸性側でグロビンエマルションの脂肪球は,UHGエマルションのそれよりも多くタンパク質を吸着していた.しかし,中性からアルカリ性側では,UHGエマルションの脂肪球の方が,より多くタンパク質を吸着していた. 5. グロビンの表面疎水性は,pH 7.0とpH 5.5でUHGよりも高く,酸性側ではUHGよりも低かった. 6. UHGFAあるいはUHGFBの乳化活性ならびに乳化安定性は,いずれもグロビンと同程度か,あるいは,グロビンより高かったが,UHGに勝るものではなかった.