脂肪酸種の異なるモノグリセリド(ステアリン酸モノグリセリド,オレイン酸モノグリセリド,エライジン酸モノグリセリド)の製パン性に対する影響について検討した. 飽和脂肪酸のモノステアリンは,生地物性の改善には効果を示さず,焼き上がり後のパンの老化抑制に効果を示した.不飽和脂肪酸のモノオレイン,モノエライジンは,生地物性を改善し,特にモノエライジンは老化抑制にも効果を示した. 生地物性改善の作用機構について,生地中のモノグリセリドの存在状態について検討したところ,モノステアリンは,グルテン:デンプン=1:20の比率で存在していたのに対し,モノオレイン,モノエライジンはグルテン:デンプン=1:1の比率で存在し,両モノグリセリドがグルテンに対し高い親和性を示し,グルテン中のモノグリセリド量が生地物性に影響することが判明した.