ソバ種子を果皮と子実に分離し,ラジカル連鎖切断型抗酸化剤としての活性による素材の評価を行い,品種間差異を検定するとともに,抗酸化活性の簡易推定を試みた. (1) 果皮・子実から,極性の異なる3種類の溶媒を用いて調製した試料液の抗酸化活性は,極性の高いエタノール抽出物の活性が最も高かった.また-20℃で保存すれば,抽出後1ヵ月程度は活性の有意な変動は認められなかった. (2) ソバ種子エタノール抽出物の抗酸化活性には,果皮・子実とも品種間差異が認められ,供試した中では果皮は鹿屋在来種,子実は九戸在来種No. 3とソ連産No.11の抗酸化活性が高かった.α-トコフェロールのペルオキシラジカル捕捉速度のパラメーター(kinh/kp)はソバ種子の10-20倍,ケルセチンは約2倍,カフェー酸はほぼ同じ,フェルラ酸は約1/2であった. (3) ソバ種子エタノール抽出物添加時の脂質過酸化率(Rinh/Rp)は,総ポリフェノール量から標準誤差が果皮では2.8%,子実では4.1%で推定可能であり,総ポリフェノール量から,ソバ育種素材の抗酸化活性の評価が可能となった.