グロビン-脂肪酸複合体を調製し,得られた複合体の乳化性について検討した.脂肪酸としては,ステアリン酸(C18),ミリスチン酸(C14)およびデカン酸(C10)を用いた. 1. グロビンをエタノール,尿素およびβ-メルカプトエタノールで前処理すると,グロビンの上記脂肪酸に対する親和性は大きく変化した. 2. グロビンエマルションの安定性は,pH 7.0で最低であったが,尿素加熱処理グロビンあるいはβ-メルカプトエタノール処理グロビンのエマルションは,pH 7.0でも高い安定性を示した. 3. 中性付近でのグロビンの乳化性は,脂肪酸との複合体を形成させることによって改善された.特に尿素加熱処理グロビンと脂肪酸との複合体は,pH 7.0で,優れた乳化性を示した.