高分子膜およびセラミック製無機膜を用いて温州ミカンモデル果汁の清澄化を行い,精油が透過流束に及ぼす影響および精油成分の透過特性について検討した. (1) ポリスルホン膜で処理した場合,精油は膜面へ吸着し,透過流束を低下させた.ペクチンが精油と共存すれば,精油は透過流束に影響を及ぼさないことが明らかになった.一方,ジルコニア膜処理においては,精油の影響は全く認められなかった. (2) ポリスルホン膜で処理した場合,精油の主要構成成分であるテルペン系炭化水素類の透過率は10%以下であった.一方,テルペン系アルコールであるリナロールは大部分透過した.他方,ジルコニア膜処理ではテルペン系炭化水素類はほとんど透過せず,テルペン系アルコールは透過率は比較的高かった.