あさり佃煮の主要成分である水分,塩分,可溶性全糖,の組成をもとに調製したモデル佃煮を用いて,各成分の組成から水分活性を予測するための数式化を試み,さらにその数式を他の佃煮惣菜に応用し得るか否かについて検討した. (1) あさり佃煮の成分分析結果をもとに調製したモデル佃煮の水分活性はもとのあさり佃煮の水分活性と統計的に高い相関が認められた. (2) モデル佃煮の水分活性は水分含量に対して対数的に増加し,食塩およびしょ糖含量に対してほぼ直線的に増加した. (3) 水分活性を各成分組成を変数として重回帰分析を行い数式を求めた.この数式より得られたモデル佃煮の水分活性は実測値と非常に高い相関があった. また,あさり佃煮では上記の数式を用いた予測値と実測値との間に高い相関が得られたが,予測値が全体的にやや高い傾向がみられた. (4) 市販の各種佃煮惣菜39検体にこの数式を適用して水分活性の予測を試みたところ,あさり佃煮の場合と同様に相関は高く,予測値が全体的に高かった.そこで,数式における係数を補正したところ,市販の佃煮惣菜に対しても十分に適用可能であることが示された.