魚類において脂質が魚体のある部分に偏在することを利用し,脂質含量の測定に画像解析の技術を適用することを試みた. アユ,マイワシおよびサンマの横断切片を試料とした.試料の入力方法として転写法,非染色切片および染色切片の直接法あるいは写真法を採用した.画像解析は,入力画像の雑音除去,階調値分布の解析後,階調変換により二値化処理を行い,試料断面の脂肪組織の画素数を計測し,試料断面全体の画素数に対すその比から脂質含量を求めた. すべての魚種の画像測定においてB成分を採用した.画像解析法により求めた脂質含量を同切片を溶媒抽出して得られた脂質含量と比較した.養殖アユの写真法において非染色切片で相関係数0.981,染色切片で0.980と高い相関が認められた.また,マイワシおよびサンマの非染色切片における写真法および直接法においても比較的高い相関が得られた. これらのことから,脂肪組織と筋肉組織を比較的明瞭に区別できるアユおよびマイワシなどの魚種において,画像解析方法は脂質含量の迅速かつ簡便な評価方法になるものと考えられた.