指標細菌の耐熱性パラメーターに基づき計算される殺菌効果と蒸気吹込み式殺菌機による実測値との間で差が生じる原因として,殺菌機の保持管における温度振動が,殺菌効果に与える影響について検討を行った. 100l/hの実験機および2150l/hの実用機を用いて,保持管における温度振動が,殺菌効果に与える影響について検討を行い,次の知見を得た. 1) 保持管内で蒸気の吹抜けを防ぐために,背圧弁によって制御し,保持管内圧を殺菌温度における蒸気圧より0.8kg/cmcm2以上高くする必要がある. 2) 保持管温度の振動データーを基に殺菌効果を推算した結果,保持管温度の振動は殺菌効果を低下させる要因の一つであることが示唆された. 3) 商業的な目的で殺菌処理を行うためには,このタイプの殺菌機は,制御上の変動要因が多いため実際に耐熱性菌を液状食品に接種し,殺菌条件の妥当性を評価することが必要と考えられる.