発酵食品の製造,流通過程での品質劣化の原因となる産膜性酵母の増殖を抑制するため,耐塩性キラー酵母KYT-1株を分離し,生産するキラー因子の性質を調べ,以下の結果を得た. (1) KYT-1株はDebaryomyces hanseniiと同定された. (2) KYT-1株は, Hansenula anomala IFO 0569, D. hanseii IFO 0855と野生産膜性酵母D. hansenii S1に対してキラー活性を示した. (3) KYT-1株の培養液は限外ろ過,ブチルトヨパール650Sカラム,セファデックスG25カラムにより部分精製され,その比活性は約110倍に上昇した. (4) 部分精製キラー因子は15℃以下,pH 3-5.5で安定で,食塩濃度が増加するにつれ見かけの活性は強くなった. (5) 漬物の漬け液において,1×105/mlの産膜性酵母 H. anomala IFO 0569, D. hansenii IFO 0855, D. hansenii S1の増殖阻止に必要な部分精製キラー因子の量は,それぞれ1.8μg, 22μg, 7.4μgであった.