食品の安全情報に対する消費者の反応に影響をおよぼす要因を調べるために,アンケート調査および面接調査を行った. (1) 食品の安全性に関する情報をその食品を買う時や食べる時に見る者,すなわち,食品の安全情報に反応する者とそうでない者がほぼ同数になるように調査対象者を分類した. (2) アンケート調査の結果から,食品の安全情報に反応する者は,反応しない者に比べて,第1に,環境,福祉,政治等の社会問題に対する関心が高いことが認められた. (3) 面接調査の結果から,食品の安全情報に反応する者は,反応しない者に比べて,環境保護に対して理想主義的な考え方をもち,食の安全性に対しては神経質な考え方をもっ傾向が認められた.これらの結果はアンケート調査の結果とよく一致した. 以上から,食品の安全情報に対する消費者の反応には,価値観関連因子が最も深く関わっていることが認められた.