(1) トマチンのバイオアッセイ法の確立を目的として数種類の動物培養細胞について検討を行った.供試細胞のうち接着細胞のHepG 2, HuH 6KK, NIH 3T 3は,アッセイに適していたが,浮遊細胞のU937, HL 60は不適であった. (2) トマチンのアッセイについてはアラマーブルー法,化学発光法,MTT法,WST-1法等を検討した.その結果,HepG 2細胞と化学発光法の組み合わせが優れていることが明らかになり,トマチンを感度良く短時間で検出できた. (3) 化学発光法によりトマト果実(桃太郎)中のトマチンの定量を試みた結果,未熟果実からは353mg/kg新鮮組織重量,成熟果実からは5.42mg/kg新鮮組織重量のトマチンが検出された.また,着果後3, 6, 8週目のトマトを測定し,成熟するにつれてトマチン含量が減少することを確認した. (4) 品種別には,原種に近い L. peruvianum や L.hirsutum から高濃度のトマチンが検出された. (5) 供試した遺伝子組換えトマトと非組換えトマトのトマチン含有量の差は認められず,その濃度は栽培品種と同レベルであった.