飲む感覚で利用する米飯缶詰の飯粒状態に影響を与える因子について検討を行った. 粳米10品種により品種間の差異をみたところ,平交102号が良好な飯粒状態(飯粒の非結着性および流動性,形態維持性)を示した. 精米を10%程度使用した場合の良好な飯粒状態の保持について,調味料およびその浸漬処理条件により検討した.その結果,精米をクエン酸1%溶液中に3分間浸漬した場合,pHは4~4.5の範囲であり,ホットベンダー(55℃)中で60日間の経時変化試験においても,良好な飯粒状態が保持できた.この特性は,他の有機酸使用においても同様に認められた.本設定条件下では,飯粒の膨潤が抑制され,飯粒中の粘性物質の溶出が低減されることから,飯粒の流動性の発現,非結着性,形態維持性が図られた.飯粒状態とアルカリ崩壊度には相関関係が認められた.