醗酵食品における製品の再醗酵を防止するための天然保存料の開発を目的に, Kluyveromyces thermotolerans IFO 1778株培養ろ液の諸性質を検討した.その結果,NaCl濃度4%以上の存在下で, Zygosaccharomyces rouxii に対しキラー性を示した.また,そのキラー活性はNaCl濃度の上昇に伴って高くなった.また,キラー活性のpH範囲はpH 2~6(至適pH 4)であり,40℃, 15分間の熱処理で失活した.キラー活性の安定化にはポリオール類が有効であった.麹汁培養ろ液の凍結乾燥物1%の添加により, Z. rouxii の生育を阻害し,醗酵を遅らせた.また,培養ろ液を酵素処理した結果,プロテアーゼ処理でキラー活性は失活しにくく,逆にセルラーゼ処理によりキラー活性が高まった.