アルギン酸カルシウムからのカルシウム脱離に及ぼす有機酸のナトリウム塩の影響について検討した. 1. ナトリウム塩の濃度に関係なく,Ca-Algからのカルシウム脱離は浸漬後数分で平衡に達した. 2. いずれのナトリウム塩の場合も,カルシウム脱離に及ぼす温度の影響はそれほど大きくなかった. 3. Ca-Algの重合度が小さくなるほどカルシウム脱離率が大きくなっチたが,その度合いはそれほど大きくなかった. 4. カルシウム脱離に及ぼす影響は,大きい順に四つのグループに大別できた.一番目はクエン酸Na2,クエン酸Na3,二番目はリンゴ酸Na2,酒石酸Na2,三番目は乳酸Na,コハク酸Na2,酒石酸Na,クエン酸Na,四番目は酢酸Naであった. 5. カルシウムイオンに対するイオン選択係数は,クエン酸Na3,クエン酸Na2,リンゴ酸Na2,酒石酸Na2が他に比べて著しく大きかった.