小麦粉を水で懸濁して得たグルテン(対照グルテン)およびNEMI処理したグルテン(NEMIグルテン)の凍結および凍結乾燥にともなう物性変化を調べた.両グルテン共,凍結乾燥すると伸張性は低下し,システインの添加により回復するが,低下および回復の程度は対照グルテンの方が著しかった.凍結乾燥または凍結によりSDS不溶性画分が増加するが対照グルテンの方が多かった.SDS不溶性画分は分子間SS結合による高分子重合体であるが,NEMIグルテンは凍結してもSDS不溶性画分の生成はわずかであった.しかし,NEMIグルテンのSDS可溶性画分は高分子グルテンタンパク質が増加するため高粘調性を示した.これらのことより凍結および凍結乾燥によりグルテンタンパク質のSS重合体が形成されるためグルテンの伸張性が低下すると考えられる.