3種類の褐藻,マコンブ Laminaria japonica Areschoung,カジメ Ecklonia cava Kjellman,イソモク Sargassum hemiphyllum から次の3種類の酸加水分解処理(0.2N H2SO4), (a): 30℃,16時間,(b): 50℃, 6時間,(c): 100℃,2時間を経てアルギン酸カリウム(K-Alg)を抽出し,それらの収量,化学的性質と in vitro におけるNaイオン結合能との関係を調べた. (1) 収量は乾燥重量当たり,マコンブ30~45%,カジメ22~31%,イソモク18~28%で,すべての種において最高収量は(b)の酸処理を行った場合に得られた. (2) マコンブ,カジメ由来のK-AlgのM/G比は1.0~1.2であるのに対して,イソモク由来のK-Algは0.3~0.4であった.酸加水分解処理により,K-Algの分子量は1.5×104~1.5×105以上の範囲で変化した. (3) 平衡透析法により上記のK-AlgのNaイオン結合能を測定したところ,M/G比並びに分子量が異なるにもかかわらず,それらのNaイオン結合能に差は認められなかった.従ってK-AlgのNaイオン結合能は,その一次構造に依存していないことが明らかとなった.おわりに,褐藻試料を御供与下さいました高知大学海洋生物教育研究センター・大野正夫教授に深く感謝申し上げます.