マイワシから高品質の落し身を製造することを目的として,赤身魚のすり身の品質改善のために導入された減圧晒しを落し身製造に適用することを試みた.落し身に等量の0.6%重曹-0.6%ピロリン酸ナトリウム水溶液を混合して10mmHgの減圧下に20分間置いた後,常圧にもどし,遊離した脂肪および過剰の水分を遠心分離で除去した(この処理を減圧処理と呼ぶ).この1回の操作で,原料中の脂肪の35%を除くことができた.減圧処理した落し身は貯蔵(5℃,6日間)後も水分,pH,筋原繊維タンパク質の溶解度がよく保たれた.また,この落し身を材料としたハンバーグはあっさりした味で魚臭もほとんどなく,カマボコとハンバーグの中間的なテクスチャーであった.