カットキャベッの褐変とそれに関与するといわれる酵素の活性に及ぼす冷風乾処理の影響を調査した.またエチレン生成と褐変との関連性を検討した. (1) カットキャベツの褐変度,ポリフェノールオキシダーゼ(PPO)活性,パーオキシダーゼ(PO)活性およびフェールアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性は,保持中に増加した.褐変度が低かった冷風乾区ではPAL活性も低かった.PPOおよびPOの活性は対照区と冷風乾区の間に差はなかった. (2) 褐変およびリグニン形成が少なかった冷風乾区のカットキャベツでは,対照区に比べてエチレン生成が全般的に少なく,PAL活性も低く保たれた. (3) 冷風乾区のカットキャベッの呼吸量,フェノール物質含量ならびに包装内エチレン濃度は対照区とほとんど変わらなかった. 以上より,冷風乾区のカットキャベツでは,エチレン生成ならびにエチレンにより誘導されるPALの活性が低く,その結果として褐変やリグニン形成が少なかったものと推察した.