(1) リアクター型バイオセンサシステムによる,ビタミンC(L-アスコルビン酸)の定量システムを構築し,マイクロ波茶葉乾燥火入機と従来法とにより製造した,緑茶中のビタミンCの定量に応用した. (2) このバイオセンサシステムは固定化酵素リアクター.酸素電極,A/Dコンバータ,マイクロコンピュータ,ペリスタティックポンプより構成されている.固定化酵素リアクターは多孔質キトサンビーズにアスコルビン酸オキシダーゼを固定化し,これをミニカラム(φ 2×50mm)に充填して調製した.1検体の測定は,3分以内であった. (3) このシステムでの検出限界は,1mg/100mlで1000mg/100mlまで直線的応答が得られた.また,繰り返しの測定精度は相対標準偏差で2%以内(n=40)であった.固定化酵素は室温で3ケ月以上安定であった. (4) 茶抽出液および各種飲料の測定結果は,酵素分析法(Fキット)及びインドフェノール法と良好な相関を得た.これらの結果,本システムを用いることにより,食品中のビタミンCを簡便,迅速,経済的に定量できることが判明した. (5) 試料として静岡県産やぶきた茶を用い,煎茶製造工程の火入れ段階でマイクロ波乾燥火入機と従来方法とを行い,これらが及ぼす茶葉中のビタミンC含量への影響について検討したところ,茶葉中に残存するビタミンC含量は,煎茶製造時の火入れ方法の違いにより大きく異なり,マイクロ波乾燥火入機で製造した茶葉には,従来方法で製造したものに比較し,多量のビタミンCが残存していた.