水,乳酸,NaClおよびSuc溶液中で加熱した昆布の軟化機構を明らかにするため,これらのモデル調味液中で浸漬加熱した昆布の細胞壁構成物質の組織形態を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した. TEM観察の結果,水透析のみ行った試料は,組織の表面にわずかに浮き出た不規則に分布する微小繊維がアモルファスな細胞壁基質の中に半ば埋まった状態,水区は微小繊維が浮き出た状態,乳酸区は,水区と同様アモルファスな細胞壁基質が除去されていたが,水区と比べて繊維の丸みが取れ偏平で押しつぶしたような様相,NaCl区は,アモルファスな細胞壁基質が除去されており,繊維は水区と同様丸みがあって長く伸びた状態,Suc区は,微小繊維間を埋めるアモルファスな細胞壁基質がわずかに観察され,水区に近い形態であった.