醤油に由来する細菌胞子の発芽後増殖抑制に及ぼすつゆの成分と加熱条件について検討した. (1) 非濃縮タイプのつゆでは細菌胞子の発芽後増殖に伴う産膜や混濁現象が認められた.非濃縮タイプのつゆではAw 0.95以下と90℃以上の加熱殺菌を必要とした.Aw 0.96のつゆでは97℃の殺菌でもその効果は弱かった.クエン酸ナトリウムを添加した場合,胞子の耐熱性が低下すると共に小袋容器での100℃以下の加熱殺菌が可能となった. (2) つゆの中には生理的性質を異にする醤油由来の胞子形成細菌が存在し,B-1, B-2の2株を分離した. (3) 胞子からのCaイオンの漏えいは97℃加熱で顕著になり,クエン酸ナトリウムの添加によりMgイオンの漏えいも増加した.クエン酸ナトリウム添加と97℃加熱処理を行った場合,B-2株からの両金属イオンの合計漏えい量はB-1株より18%多かった.